| その工房は鯖江市郊外の山間にある。「山本手造めがね製作所」の表札が見えてきた。足音に気が付かれたのか間もなく、玄関が開き、山本夫妻が出迎えてくれた。「こんにちわ」「こんにちわ」「ようこそ」一通りのご挨拶をすませ、玄関をくぐる。 |
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山本手造めがね製作所
手造めがね製作所、その通りだ |
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レンズの部分を糸ノコで切り抜く |
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レンズをはめる溝を削る
ここだけは機械を使うと言うが、手でひとつひとつ丁寧に作業をしているのが解りますか? |
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セル生地を暖める装置 |
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レンズ部のサイズを確認するための型
くり抜いたセルをひとつひとつこの型にはめて調べる |
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細かな微調整は電熱器で暖めながらおこなう
子供の頃、一家に1台、こんなのがありました |
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暖められた生地(フロント)にカーブをつける金型 |
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フロントの原形ができた、いよいよ磨きだ |
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何段階もの磨きを経て、あの艶と肌触りが完成する |
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テンプルも全く同じ工程を経て出来上がる |
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作業場にはいると、タタミ一畳ぐらいの段ボールがいくつか置かれている。段ボールには1995、1998と年号が記されている。これがセル生地だ。セル生地は3年から、5年ぐらいは寝かす。何故なら、若い生地は縮んだり変形して、不良の原因になるからだ。
泰八郎さんが小さいセル生地を掴む、私は手元に集中した。セル生地をフロント枠の原盤にあて、玉型のラインをとると糸ノコで切り抜く。あっという間にフロント枠の原形が手に残った。そのまま、レンズを入れるために必要な溝を掘る。「ここだけは機械を使います」と恥ずかしそうに言いながら、高速回転する刃物に枠を当てた。淡々と作業が続く。湯せんで温められる。温まったところで真鍮の型にのせ、フロント枠のアール(曲線)をつけると同時に、ブリッジも出来上がる。ここから、ヤスリで丸みをつけていく。艶を出すために、回転する布に泥を付けながらフロント枠を当てる(バフ掛け)。荒い布や目の細かい布を使い分けて、丹念に磨きをかけていく。「冬は寒くて耐えられません」と笑いながら泰八郎さんは言った。最後に磨きをかけたフロント枠に丁番を埋め込み、鼻当てを付け、テンプルにも丁番を付ける。それらを組み、合口をあわせて、1本の「泰八郎謹製」は完成した。 |
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1943年(昭和18年)福井県鯖江生まれ、58歳。
中学卒業後、眼鏡づくりを始める。以来、40年以上、「ノー芯」という伝統的な製法を継承するメガネ一筋の手職人である。
月産200〜230本で、250本作ると休みは返上だと言う。昭和32年から、当時の方式をそのままに守り続けている。 |
快く取材をお引き受け頂いた山本様ご夫妻、金子眼鏡様、ありがとうございました。 |
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